研究内容


Research

臨床研究


感染制御と抗菌薬適正使用に関する研究 

感染制御とは、感染症の拡大を防ぐこと、抗菌薬適正使用とは原因微生物に対して適正な抗菌活性を持つ抗菌薬を選択し、過不足のない十分な投与量で過不足のない十分な期間、投与することを言います。抗菌薬の適正使用の目的は、抗菌薬活性に耐性をもつ病原体(耐性菌)の蔓延を防ぐことです。
現在、厚生労働省よりレセプト情報の提供を受け、これを利用して市中肺炎患者における血液培養検査が抗菌薬使用方法と入院期間に与える影響に関する調査研究を実施しています。 院内肺炎に比べ軽症者が多い市中肺炎において、敗血症の診断目的でルーチンに血液培養検査を実施することの有用性に関して統計学的な検討を実施しています。

安全で安心なセルフメディケーションの実践に関する研究 

本邦では、医療費削減と医療崩壊の回避のため、セルフメディケーションが推奨されています。セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。これには薬局薬店で販売されるOTC薬等の適切活用が必要ですが、アスリートのうっかりドーピングや病院処方薬との相互作用等、多くの問題が起こっています。 現在、大学、短大、専門学校、高等学校、小中学校、幼稚園の学生児童教職員約5,000名を対象とした疫学調査を継続的に実施しています。これにより安全で安心なセルフメディケーションの実践に必要な要因を探索し、そこから得られた仮説に基づく検証的研究へと展開する予定です。

薬剤師実務分野に関する研究

病院薬剤師の病棟薬剤業務や、調剤薬局薬剤師のセルフメディケーションや健康サポートへの積極的な関与など、薬剤師業務は拡大しています。薬剤師の職能を十分に生かし、国民の健康生活を確保するために、先進的で効率的な業務の積極的な実践が求められています。
そして、それら業務を臨床研究によって科学的に評価し、その内容を継続的に改善更新していくといったPDCAサイクルを回していくことが重要です。当研究室は医療情報学、臨床薬剤疫学等の分野で、薬剤師の臨床研究を支援します。
現在、精神科外来におけるOTC薬の使用状況調査等の共同研究が進行中です。

本研究室で実施中の
臨床研究について


研究で実施する臨床研究は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」他、関連倫理指針に準拠して実施します。

現在、本研究室で実施中の臨床研究のうち、要配慮個人情報等を取扱っている研究は以下のとおりです。
お問い合わせはそれぞれの研究担当者の方へお願いします。

1:セルフメディケーションにおける医薬品等の使用実態に関する疫学研究

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第43号

研究責任者 室 高広 muroth1@niu.ac.jp

2:こどもの「くすり教育」に関する実態調査と教育効果

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第48号

研究責任者 末廣 真理恵 marie@niu.ac.jp

3:学生を主体とした新型コロナワクチン職域接種における副反応の実態調査

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第50号

研究責任者 室 高広 muroth1@niu.ac.jp

4:幼稚園のおたよりを利用した保護者に対する薬の適正使用教育の効果に関する研究

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第51号

研究責任者 末廣 真理恵 marie@niu.ac.jp

5:ドーピングに関する実態調査と教育効果に関する研究

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第52号

研究責任者 末廣 真理恵 marie@niu.ac.jp

6:新型コロナワクチン接種後の抗体価に与える影響因子の調査

長崎国際大学薬学部研究等倫理委員会承認研究 
承認番号 第55号

研究責任者 末廣 真理恵 marie@niu.ac.jp

基礎研究


バイオジェニックスの有用性に関する研究 

近年、ヒトの腸内フローラのバランスの悪化と疾患との関連が指摘され、腸内環境を整えることが健康の維持増進さらには疾患の予防に密接にかかわることが広くに認知されています。ヒト腸内には、500種類、100兆個を超える腸内細菌が共棲し、ヒトの健康に関わる総合的な効果を発揮しているであろうことが様々な研究データから提唱されています。
本研究室では、従来から腸内環境を整える上で効果的とされる21種類の腸内細菌由来の菌を共棲培養することで得られた培養ろ液(乳酸菌生産物質 PS-B1)を用いて保健効果の研究に取り組んでいます。このPS-B1に含まれる生理活性物質の有用性を明らかにすることで健康維持増進・疾病予防への応用を期待して研究しています。

ケミカルハザードドラッグの職業性曝露の回避に関する研究

近年、医療現場で取り上げられている問題の1つとして、ケミカルハザードドラッグの職業性曝露があります。例えば、病院の薬剤部で抗がん剤を調製して患者さんに投与するまでに、薬剤師、看護師、医師など多くの人が関わります。これらの薬剤は、健康な人でも日常的に直接触れたり、薬剤が飛散した空気を吸ったりしてしまうと、健康被害が起こるリスクが伴います。
そこで、抗がん剤等のケミカルハザードドラッグに対して、これらの職業曝露を軽減するための研究を始めています。(株式会社アムズとの共同研究)今後、地域の医療機関と協力して医療に関わる人を守るための研究を進めていく予定です。